発表者名 | タイトル | ps.gz | |
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八反田 一宏 | プログラムに対する電子透かし埋め込み法の評価 | 74 KB | 66 KB |
山本 浩司 | データ依存回路による隣接判定方式の評価 | 60 KB | 54 KB |
電子透かしとは,データの中に情報を埋め込む手法である.例えばデータに著 作権情報を埋め込むことで,データの不正コピーに対して著作権を主張するこ とができる.電子署名も電子透かしと類似の概念である(本研究の範囲内では 同一視して良い).
Davidsonらは,プログラムコードの基本ブロックを並べ替 えて電子署名を構成する方法を考案した.基本ブロックとは,連続した命令列 からなり,先頭の命令に制御が与えられ,途中で分岐することなく終端で制御 を離れるものをいう.実行順序さえ保持すれば,基本ブロックの アドレスは自由に変更することができる.ただし,実行順序を保持するにはジャ ンプ命令を挿入しなければならないので,プログラムの性能は低下する.
本研究では,Davidsonらの方法をMIPS命令セットを用いて実装し,署名前後の 実行命令数比とプログラムサイズ比,埋め込み可能な情報量を定量的に評価し た.
2つのグラフ$G_\alpha$,$G_\beta$が与えられたとき,$G_\alpha$が $G_\beta$のいずれかの部分グラフと同型か否か判定する問題を“部分グラフ 同型判定問題”と呼ぶ.$G_\alpha$から$G_\beta$への写像のう ち,隣接関係(辺)が保持されるような写像を探す問題と言い換えても良い.こ の問題は幅広い応用を持つが,一般にNP完全で,実用時間で解くことは困難で ある.
部分グラフ同型判定問題を高速に解く手法として,専用回路の利用が考えられ ている.Ullmannの回路は有効であるが,回路規模が大きくなる ため実装困難である.
Ullmannの回路をデータ依存回路で実装すると回路規模が減少することが知ら れている.一般に入力が定数であれば論理回路を簡単化できる ので,入力データごとに専用回路を生成すると回路規模を削減できる.この場 合,生成された回路は入力データに依存するので“データ依存回路”とよぶ.
小西のアルゴリズムは,Ullmannのアルゴリズムよりも枝刈りが 単純である.そのためUllmannのアルゴリズムより小さい回路で実装すること ができる.本研究では,小西のアルゴリズムの隣接判定部分をデータ依存回路 で実装し,その回路規模と判定時間を評価する.